太陽の紫外線は、肌の黒化や、シミ・タルミの促進といった影響を与えるため、肌への紫外線対策は当たり前ですよね。
では、頭髪に対して紫外線はどんな影響を与えているかご存知でしょうか?
肌が紫外線で影響を受けるのと同様に、髪も紫外線でダメージを受けています。
今回は、くせ毛に悩む方に紫外線に気を付けてもらいたい理由や、髪が受ける紫外線の影響と対策を詳しくご紹介しますのでぜひご覧ください♪
紫外線の髪への影響
紫外線対策と言えば顔や身体を真っ先に思い浮かべると思います。
管理人もオールシーズン日焼け止めクリームを塗って対策は抜群のつもりです。
ですが、紫外線は肌だけではなく、髪にも悪影響を及ぼしているのです。
しかも、紫外線が髪に与えるダメージは、軽微な変化であるため認識しにくく、徐々に蓄積されていく見えないダメージです。
では、具体的にどんな影響があるのか見ていきましょう。
①手触りの悪化(脂質(18-MEA)消失)
髪の最表面は、様々な脂質(脂肪酸)で被覆されていますが、その主成分が18-MEAという脂質です。
髪が紫外線を受けると、18-MEAは紫外線の照射量によって徐々に消失し、夏季における3ヶ月相当の紫外線照射で約90%が消失してしまいます。
一度失われた18-MEAは後天的に再生することはなく、髪表面の疎水性(水をはじく状態)がなくなることで、髪の手触りの悪化や絡まりを引き起こします。
【18-MEAとは?】
18-MEA(18-メチルエイコサン酸)は、哺乳類のみに存在し、体毛を疎水性(水をはじく状態)とし、雨や雪などから身体を守っています。
人の場合には、毛髪のキューティクル表面のみに存在しており、キューティクル表面とはチオエステル結合によって維持しています。
潤滑膜としての機能も知られており、摩擦の低減や滑らかな感触は18-MEAの存在によるものです。
また、毛髪にとって重要な18-MEAですが、外部からの刺激に弱く、パーマ施術1回でおよそ半分に減少し、ブリーチ施術1回でそのほとんどが消失してしまいます(化学処理による酸化でチオエステル結合の開裂が発生)。
紫外線照射の場合には、酸素ラジカルやヒドロキシラジカルの発生による酸化反応でチオエステル結合の開裂が生じていると考えられています。
②手触りの悪化(キューティクルの剥離)
髪の表面はキューティクルという層(うろこ状に6~8枚)に覆われています。
髪が紫外線を受けると、表面に存在するキューティクルに空洞(キューティクルホール)が発生し、そこからキューティクルの剥離(はがれ)が起こります。
髪のキューティクルが剥がれてくると、毛髪表面の形状が乱れ、手触りの悪化(キシキシ)が起こります。
また、紫外線によるキューティクルへのダメージは、ヘアカラーやブリーチをした髪の方が大きくなります。
【もっと詳しく!】
髪の構造の80%は、繊維状構造体であるコルテックスでできていますが、その中にメラニンが分布しています。
髪表面のキューティクルには、メラニンが存在しないため、紫外線の影響をより受けやすくなっています。
③パサパサ(水分量の低下)
紫外線で毛髪内部にある水分が蒸発し、髪がパサパサになります。
髪内部の水分が失われると組織の劣化で髪が裂けやすくなり、枝毛も発生しやすくなります。
④切れ毛や枝毛(強度の低下)
髪は紫外線を受けることで、切れやすく、しなりもなくなって折れやすくなります(破断強度や曲げ剛性が低下します)。
また、紫外線を浴びる時間が長いほど髪の強度は低下し、髪が水に浸かった状態や、ヘアカラーやブリーチをしていると、より損傷が促進されます。
⑤色が抜ける(赤くなる)
「海水浴をしたら髪の色が抜けた」という話を聞いたことはありませんか?
実は「海水浴で髪色が変化する」のは事実で、髪が水に浸かった状態で紫外線を受けると、ブリーチをしたときと同じように毛髪の損傷と、髪色の変化が起こります。
紫外線を浴びるが長いほど、また、水のpHが高いほど(海水のpHは真水よりも高い)、髪色は大きく変化します。
【もっと詳しく!】
浸った状態で紫外線を浴びると毛髪中のシスチン結合(ジスルフィド結合)結合が酸化開裂し、毛髪の損傷が生じ、さらにメラニンが酸化分解することで、毛髪の赤色化が発生します。
【参考文献】
1)S.Kanetaka,K.Tomizawa,H.Iyo,Y.Nakamura,”毛髪の物性およびタンパク構造に対する紫外線の影響”,J. Soc. Cosmet. Chem. Japan. 27(3)425-431(1993)
2)T.Watanabe,”毛髪の紫外線ダメージ”, J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn. 48(4)271-277(2014)
3)Y. Doi,Y.Akiyama,Y.Izumi,Y.Matsue,S.Nishijima,”毛髪の酸化損傷に関する基礎的研究”,Journal of Life Support Engineering(20)107(2008)
4) M.Tatsuda, M.Uemura, K.Torii,M.Matsuoka,”紫外線による毛髪の赤色化と損傷”, J. Soc. Cosmet. Chem. Japan. 21, 43 (1987)
5) S.Inoue,”毛髪最表面の構造と物性”,表面科学,2011 年 32 巻 5 号 p. 287-293
くせ毛さんが紫外線に気を付けたいワケ
なぜ特にくせ毛さんは紫外線に気を付けたいのか。
それは、くせ毛はもともと傷みやすく湿気で広がりやすい髪質だからです。
紫外線による日々のダメージでさらに扱いにくくなっては困りますよね。
また、くせ毛の強い味方の縮毛矯正も髪にとっては大ダメージのため、日頃の小さなダメージを軽減させ、健康な髪を保つのがくせ毛にとってとても大切です。
髪の紫外線対策
髪の紫外線対策はどうしたらいいのでしょうか?
髪の紫外線対策と紫外線を浴びてしまった後のケア方法をご紹介します♪
紫外線対策に役立つアイテム
紫外線対策① 帽子
被るだけのお手軽紫外線対策ですが、落とし穴も!
ベースボールキャップなどの前側にしかツバが付いていない帽子はほとんどの髪が日に当たってしまいます。
髪の紫外線対策を意識するならツバ広の帽子をおすすめします。
メリット | デメリット |
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帽子は紫外線対策には有効ですが、くせ毛さんにはデメリットが多いのでおすすめ度は低めです。
特に前髪が帽子と汗で変な形にくせ付いてしまうのが難点ですね。
紫外線対策② 日傘
お肌の紫外線対策や暑い日差しを避けるために使用している方は多いかと思いますが、髪の紫外線対策にもとても有効です!
帽子と違い、髪が崩れたりムレたりしないので、ヘアスタイルが崩れやすいくせ毛さんにおすすめです。
コンパクトで収納に便利な折りたたみの日傘をおすすめします!
(管理人は以前、折りたためない日傘を買って後悔し、結局買い替えることになりました)
メリット | デメリット |
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日傘は片手がふさがってしまうので、小さなお子さんがいると難しいかと思いますが、くせ毛さんには相性ピッタリです!
紫外線対策③ オイル
ミルボンエルジューダサントリートメント
UVカットとトリートメントができるヘアオイルが発売されています。
おすすめは、【ミルボンエルジューダサントリートメント】です!
サラサラの仕上がりでべた付きにくいので、紫外線が気になる季節にもピッタリです。
人気のエルジューダシリーズなので間違いないですね!
メリット | デメリット |
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天然オイル ラズベリーシードオイル
天然の植物オイルではラズベリーシードオイルが日焼け止めに効果があるといわれています。
サラサラの軽い質感で、髪にも肌にも使用できます。
強い日焼け止め効果は期待できませんが、髪の日焼け予防と保湿に役立ちます。
塗り過ぎはべた付くので量の調整に気を付けましょう。
紫外線対策④ ヘアスプレー
ハレマオ UVカットスプレー
スプレータイプはお出かけ間にシュッと吹きかけるだけでお手軽なのでおすすめです。
デミのハレマオ UVカットスプレーはべた付き感がなく、白浮きしないので使い心地も抜群です♪
日焼け止め効果もSPF50+ PA++++なので安心です。
まとめ
紫外線はパーマやカラーリングに比べれば微々たるダメージですが、日々の積み重ねで大きなダメージへとつながります。
髪の悩み事が多いくせ毛さんはとくに気を付けたいですね。